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Mihono Bourbon
| ミホノブルボン |
| 栗毛 牡 1989年4月25日生 |
| 父 マグニテュード 母 カツミエコー 母父 シャレー |
| 競走成績 8戦7勝 |
| 1991年 朝日杯3歳ステークス
（GⅠ） 1着 1992年 皐月賞 （GⅠ） 1着 1992年 日本ダービー （GⅠ） 1着 1992年 スプリングステークス （GⅡ） 1着 1992年 京都新聞杯 （GⅡ） 1着 |
| デビューから一度として他の馬とレースをしたことがない競走馬…というと語弊があるのだろうか…しかし管理人はミホノブルボンについてそういう印象を持っている。1000ｍ→マイルを連勝したのは単なるお披露目で闘いに非ず。1600ｍのGⅠ朝日杯で生涯最大の接戦をヤマニンミラクルと演じたが、実際には後のクラシックを意識し抑える競馬を教え込もうとした鞍上との間に生じたイデオロギーの闘いであったはず。 異例のローテーションになる予定であったシンザン記念を外傷で回避するに当たりトライアルのスプリングSに向かうまでの間には周囲が距離不安を口にし、内容次第では皐月賞を断念する可能性さえあったが、楽勝でクリアし距離との闘い・第一章に勝った。 そのスプリングSで激突した後のスプリント王・サクラバクシンオー、中長距離のバイプレイヤーであり世代の中ではトップクラスにあったマチカネタンホイザ以下を完膚なまでに撃破し能力の違いを見せつけた以上、皐月賞～ダービーまでブルボンが倒すべき相手は己に潜むスプリンターの血との闘いであった。 春の二冠をモノにしたブルボンに最大の難関となる距離との闘い・第二章と言える秋の菊花賞…結果的にこの距離との闘い・第二章はブルボンの完敗となるのであった。そこまで無敗で己と目に見えない敵とだけ戦ってきたブルボンに立ちはだかったのは春には敵ではなかったライスシャワーとタンホイザの二頭。ブルボンは京都の直線ラスト400ｍだけではあるが初めてブルボンは馬相手の闘いをすることになる。しかしいくらブルボンのスピード能力をもってしても序盤キョウエイボーガンにペースを握られた上、底なしのスタミナを持つこの二頭を相手に2600ｍを走った後の直線勝負は分が悪かった。タンホイザにはやっとの思いで先着したブルボンだが1馬身半前にライスがいた…結局血と闘い続けたブルボンは距離の限界がありながら三冠馬への期待から出走せざるを得ない立場にあった菊花賞の敗戦の代償として、今後は適性距離での闘いだけをすれば良い立場になり、却って今後に期待を抱かせた。 菊花賞の後一つ歳上の二冠馬トウカイテイオーとジャパンカップの桧舞台での直接対決が発表されたブルボンだったが、筋肉痛という名目で回避する。再起を期す間にブルボンの才能を限界まで開花させることに最後の執念を見せた戸山為夫調教師が僅か一年前にブルボンと共に掴んだ栄光のダービーＤＡＹの2日前、ブルボン入厩時から闘病を続けていたガンにより死を迎える。間もなく厩舎は解散し戸山の遺産は戸山師と辛苦を共にした人という財産を除いて殆どが一番弟子の森秀行調教師が引き継ぐ。そんな中厩舎のエースであるブルボンは安永助手と共に松元茂樹厩舎へ移籍。そしてそのままカムバックすることなく休養が1年を超えたところで引退が発表された。真冬の府中で行われた引退式に管理人は立ち会ったがそこに姿を見せたブルボンはサラブレッドの肉体ではなく「ばん馬」と間違えかねない600kgはあろうかという雄大なものであった。 生産者である原口氏がトウショウ牧場での修行時代に世話をし、自らの牧場に戻る際に引き継いだハイフレームという牝馬に、ダンディルートの代役としてLuthierの血を引く中で一番種付け料が安かったシャレーを、そして原口氏の元に来てから2頭だけ残したうちの1頭であるカツミエコーにミルジョージの代役としてMill Reefの血を引く中で一番安馬であったマグニテュードを付けた。いうなれば代役と代役が妙なハーモニーを奏でた突然変異的な素質に戸山師の執念と信念によるコンダクトが嵌った馬…端的に言えば後天性に才能を咲かせた二流血統の馬であり、その血はある程度予想されていた通り血脈としては繋がらないまま2003年に種牡馬生活を事実上引退することになった。 ファニーフレンズファームと名を変えた生まれ故郷に帰ったブルボンは種牡馬でなくても北海道の人気者である。今は写真にある通り太陽と自然に溢れ、彼の代名詞であった坂路のと比べれば何てことない緩やかな坂に面した生まれ故郷に、彼のために新たに増設された綺麗な厩舎と広い放牧場を与えられ、その栗毛の馬体を現役時以上に輝かせている。種牡馬で成功しなかったことなどこの馬には問題ではない。フランス絶対主義時代の象徴・ブルボン王朝からその名を貰ったこの馬の存在感も同じように血統なんか飛び越え絶対なんだよ…。少なくとも君のレースをリアルタイムで体感した俺達にはね…戸山師の持論は「サラブレッドは皆スプリンターである」だった。君に贈る言葉には君を最高に輝かせてくれた老師の言葉を借りることが最も相応しい… 「奇跡を起こした愛すべきスプリンター・ミホノブルボンよ…君が走ったレース程、ドキドキした夢を見られたことはない…ワクワクする鼓動を感じたことはない…だから俺は君を絶対に忘れない…」 |
| 現況（2010/9現在）：種牡馬（沙流・ファニーフレンズファーム） |
2006/10/25
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